過去の企画展(平成31年度)

海苔づくりの風景 -海苔つけという技術-

令和元年11月19日(火)~令和2年4月19日(日)

海苔養殖は江戸時代に品川から大森の沿岸部で盛んになったとされます。そして、その技術は全国各地に伝播し、新たな海苔生産地の開拓に大きな影響を与えました。しかし、港湾整備計画や漁場環境の悪化などのため、昭和37年に漁業権放棄が決定し、翌38年春の海苔とりをもって、約300年にわたる海苔養殖の歴史は幕を閉じました。
生海苔を四角く成型する作業は、元々江戸時代には海苔簀の上に手で広げる「手広げ」でした。その後、紙漉きに近い方法の「家鴨付け(水付け)」が行われました。大森から千葉県人見村(現君津市)や広島県に海苔生産技術が伝播した際、この方法が伝わり、上総地域では昭和30年代まで、水付けが行われていた記録があります。
その後大田区では、水と混ぜた海苔を、枠を乗せた海苔簀へ、投げつけるように広げる「投げ付け」という方法で行われるようになり、大田区ではその製造法から「海苔を付ける」と表現しました。
今回の企画展では、館所蔵の海苔養殖作業の写真パネルの中から、海苔つけ作業風景を中心に展示します。展示を通じてかつて大田区の一大産業であった海苔養殖を振り返るとともに、大田区と千葉県の海苔の成型方法の違いについて知る機会となれば幸いです。



大森ふるさとの浜辺公園の生き物たち 命を育む東京湾の浅瀬

令和元年7月17日(火)~11月17日(日)

大森ふるさとの浜辺公園は、平成19年にオープンした海に親しむことのできる公園です。公園の開設に当たって、大田区と区民とが意見交換のワークショップを重ね、区民に魅力ある公園づくりが行われました。今では、近隣住人の散歩コース、親子連れの磯遊びや浜辺の生き物探し、友達や家族のくつろぎの場など、多くの方々に親しまれる公園になっています。
この公園では、施工前から海辺の生き物や水質の調査が行われています。10年以上に渡る調査によって、海の環境がどのように移り変わってきたのかが明らかになってきました。
調査結果や写真などで、大森ふるさとの浜辺公園の生き物を紹介します。この展示を通して、身近な自然環境に親しんでいただければ幸いです。
今回の企画開催にあたって、継続的に調査を実施してきた東海大学海洋学部海洋生物学科木村賢史教授(平成26年3月退官)、田中克彦准教授、及び東京海洋大学魚類学研究室河野博教授、五洋建設株式会社様にご協力をいただきました。多大なご協力をいただきました方々に御礼申し上げます。



船大工の仕事 -切る・削る・組む-

平成31年4月16日(火)~令和元年7月15日(月祝)

漁業において、船は欠かせないものでした。海苔養殖においても同様で、漁場への移動、海苔の収穫などで使われました。

船について考えるうえで、船大工が果たす役割は非常に大きなものでした。かつて大森地区には7軒の造船所があり、海苔用のベカブネや中ベカ、海苔船などを数多く造船していました。木造船の造船は木材を切り出し、適した形に削ったり釘穴を開けたりし、組み上げるという工程を経て行われますが、その工程では、様々な工夫がなされています。
大田区では平成8年(1996)5月から7月にかけて、大森地区の造船所2か所に依頼し、中ベカとベカブネを造船しました。本企画展では、ベカブネの製作を担った平野造船の方々が使用した船大工道具や、作業風景を撮影した写真パネルを展示します。展示を通じて、かつての海苔養殖を支えていた船大工の造船工程や作業を紹介し、船大工が培った造船の技術について理解を深めていただければと思います。


大森 海苔のふるさと館   〒143-0005 東京都大田区平和の森公園2-2   

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